住宅ローン審査に通る金額と、教育費・老後資金・日々の生活を守りながら返せる金額は同じとは限りません。家計のキャッシュフローから予算を逆算します。
「借りられる額」と「返せる額」は別
フラット35では、年収に占めるすべての借入れの年間合計返済額の割合について、年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下という基準があります。ただし、これは利用条件であり、各家庭にとって快適に返せる上限を示す数字ではありません。
同じ年収でも、子どもの人数、車の有無、働き方、家族の年齢、毎月の生活費、確保したい貯蓄は異なります。まず額面年収ではなく、税・社会保険料を差し引いた手取り収入から考えます。
住宅予算を決める5ステップ
予算を決める5つの視点
- 01手取り
育休・転職・定年後も置く
- 02暮らし
生活費と積立を先に残す
- 03維持費
税・保険・修繕も住居費
- 04手元資金
頭金後の防衛資金を守る
- 05ストレス
金利上昇と収入低下を試す
1. 手取り月収と、今後変わる時期を置く
現在の世帯手取りだけでなく、育休・時短勤務・転職・定年など、収入が変わる可能性のある時期を整理します。正確な予言ではなく、現在・下がる場合・定年後の複数条件を置くことが重要です。
2. 生活費と積立額を先に引く
食費や教育費などの生活費、保険、車、旅行、住宅以外の積立を先に確保します。残った範囲が住居費の候補です。現在の家賃を払えていても、同額のローン返済が安全とは限りません。
3. ローン以外の住居費を足す
購入後は、固定資産税、火災・地震保険、管理費・修繕積立金、戸建ての将来修繕などが必要です。ローン返済と分けて見積もります。
4. 手元に残す資金を決める
頭金を増やすほど借入額は減りますが、病気・失業・転居・家具家電の故障に備える現金も減ります。生活防衛資金を先に決め、諸費用を含めた購入直後の資産余力を確認します。
5. 標準条件と厳しい条件を並べる
現在想定する金利だけでなく、金利が段階的に上がる条件、収入が伸びない条件、維持費が増える条件でも見ます。最も負担が重い年齢の毎月支出と、定年時点の残債も確認します。
予算比較で見るべき4つの数字
| 確認する数字 | 分かること | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 購入時の資産余力 | 頭金・手数料・防衛資金を出した後に残る額 | 頭金を増やしすぎると手元資金が薄くなる |
| 金利上昇時の毎月支出 | ローンと維持費を合わせたピーク負担 | 当初返済額だけでは見えない |
| 完済年齢と定年時残債 | 収入低下後に残る返済 | 期間を延ばすと残債期間も延びる |
| 完済までの総支出 | 家賃・頭金・利息・維持費を含む長期コスト | 物件価格や金利だけの比較では不足する |
家計の安全性は一つの比率では決まりません。4項目を同じ前提で比較します。
シミュレーターに入れる3案
一度に全部を変えず、差を一つ作る
- A案:希望する物件価格・頭金・返済期間
- B案:物件価格を下げ、手元資金を厚く残す
- C案:頭金または返済期間を変え、金利上昇への耐性を高める
3案を同じ金利ストレス条件で比較すると、買えるかではなく、どの案なら暮らしを守りやすいかを話し合えます。
参考にした一次資料
- 住宅金融支援機構「フラット35 ご利用条件」 — 総返済負担率などの利用条件
- 総務省統計局「家計調査 用語の解説」 — 可処分所得(手取り収入)の定義
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